Ha Ka Se+ STORIES 先輩博士の声

STORY 01
好きな研究にのめりこみ
つかんだ企業研究者の道
小沼 実香
KONUMA Mika
次世代精鋭人材創発プロジェクト
医薬保健学総合研究科 薬学専攻
2022年度修了

01 博士課程で取り組んだ研究は?

薬用植物栽培研究の魅力に惹かれ、研究に没頭

薬用植物「ハナトリカブト」をテーマに研究を行いました。ハナトリカブトの根を減毒加工処理したものは「附子」という生薬であり、昔から漢方薬に配合されています。冷涼な気候を好むため主な国内生産地が北海道に限られていたことから、栽培適地を拡大させるため、金沢大学・薬用植物園で試験栽培を行い、収穫時期や育苗など、栽培方法を工夫することで北陸での栽培・収穫に成功しました。実験室から飛び出して自然の中で研究が出来ることが、栽培研究の醍醐味であり、他の薬学領域にはない魅力です。畑作業を行う体力、変化する気候の中で栽培実験を成功させる対応力、地元の方々と交流するための会話力など、研究を遂行するためには幅広い能力が必要でした。研究を通して、専門性を磨くだけでなく、社会で使える実践力を身に着けることができました。

02 博士進学を決めたきっかけは?

「研究がしたい。」
その自分の想いを叶えるため。

薬学部3年次にはすでに博士課程進学を決意していました。「研究がしたい」と思い大学に進学し、学部1年次の4月から研究室に出入りをしていたため、博士進学を意識したのは他の学生よりも早かっただろうと思います。進学するための資金がなく学位取得後の就職先も不安でしたが、博士進学までに情報を積極的に集めて対策を考えたことを良く覚えています。
実際に博士進学した後は、自分が満足できるまで実験でき楽しい4年間でした。指導教員のおかげで、海外調査や学外活動など研究を起点として幅広い経験を積めたことにも感謝しています。独立生計で生活を立てていかなければならなかった中、学位取得のために必死の想いで応募した「次世代精鋭人材創発プロジェクト」に選抜され、奨励金や授業料免除の支援を得られたときは安堵し、研究への励みになりました。

03 今後のキャリアと後輩へのメッセージ

企業研究者としての新たなフィールドに立って想うこと

現在、製薬メーカーで研究開発職として勤務しています。同じ基礎研究であっても、アカデミアと企業では目指す方向性が異なるため、これから行う仕事の全てが新しい経験になると考えています。企業研究者としてキャリアを形成していくことで、柔軟性に富んだスキルと知恵を持つ研究者になりたいと思っています。
後輩の皆さん、博士課程は好きな研究が好きなだけできる最後の機会です。ぜひ自分の興味・関心が強い分野で研究を始めてください。私は就職のことを全く意識せずに研究テーマを選びましたが、結果として人と違う研究を行っていたことが就職活動で非常に役立ちました。先を見据えて行動するのはとても大切なことですが、先が見えなくても自分がやりたいことがあるなら、学生のうちに挑戦してほしいと思います。