HaKaSe+オリジナル海外留学プログラム「HaKaSe+ Global Camp in the Philippines 2025」を実施
2025年8月24日から30日までの7日間、HaKaSe+オリジナル海外留学プログラム「HaKaSe+ Global Camp in the Philippines 2025」を実施しました。本プログラムは、WHO(世界保健機関)、UNICEF(国連児童基金)、JICA(国際協力機構)など、国際的に著名な機関での研修を通じて、HaKaSe+選抜学生が広い視野と国際性を育むとともに、博士人材としての国際的なキャリア形成を考える機会とし、将来、博士の学位をもって世界を舞台に活躍するための第一歩となることを願って企画したものです。本学教員で(休職中)、WHO西太平洋地域事務局(WPRO)の精神保健・薬物使用部門 調整官(地域顧問)である堤敦朗教授のコーディネートにより実現しました。
ナノ精密医学・理工学卓越大学院プログラム(HaKaSe+ for WISE)および「知」の共創と往還で実現する新価値創造人材育成プロジェクト(HaKaSe+ for SPRING)の2つの事業から、人文社会科学、自然科学、医・保健学分野の選抜学生10名が参加し、うち4名は留学生でした。
研修では、各機関の専門家から、西太平洋地域やフィリピンにおける公衆衛生や教育の現状と課題について学びました。UNICEFでは、児童の学習達成度の低さが課題とされ、母語以外の公用語による教育、教師不足、頻繁な学校閉鎖などが要因として挙げられました。WHOフィリピン事務所では、感染症などの健康危機への備えと、地域に応じた対応の重要性が示されました。WHO西太平洋地域事務局(WPRO)では、精神障害の社会的影響や制度整備の必要性、サービスの地域格差について学びました。JICAでは、民間との協働によるODAの取り組みとして、技術移転と人材育成が紹介されました。
講義はすべて英語で行われ、多国籍の講師陣と学生たちの間で活発な質疑応答が交わされました。選抜学生はそれぞれの専門分野の視点から講義内容を深く理解し、コミュニケーションスキルを磨く貴重な機会となりました。また、講師からは国際機関でのキャリアパスや職場環境についてもお話しいただき、学生たちが将来の進路を世界へと広げるきっかけともなりました。
また、マニラ首都圏に属するモンティンルパ市を訪問し、障害者支援担当職員連盟(League of Persons with Disability Affairs Officers in the National Capital Region)の会議を傍聴したほか、市内の緩和ケアクリニックや高齢者向けシェルターを見学しました。学生たちは、人員が限られている中でも市民の生活の質向上に尽力する職員の姿勢に、深く感銘を受けていました。
異文化や多様な価値観に触れることも本留学プログラムの目的のひとつであり、国民的英雄ホセ・リサール記念像があるリサール・パーク(Rizal Park)や世界遺産に登録されているサン・アグスティン教会(San Agustin Church)などの観光名所を訪れました。移動中には、日本とは異なる人々の生活を目の当たりにしたりするなど、文化的な気づきも多い滞在となりました。参加した選抜学生同士も、専門分野や言語・文化の違いを越えて交流を楽しみ、互いに刺激を受けながら学びを深めました。

UNICEFフィリピン事務所にて伏見暁洋氏による講義の様子


WHOフィリピン事務所にて関谷悠以氏による講義の様子


障害者支援担当職員連盟(League of Persons with Disability Affairs Officers in the National Capital Region)の会議を傍聴


Lakeview Health Center(緩和ケアクリニック)にて。医師、ソーシャルワーカー、看護師の計4名のスタッフで地域の緩和ケアを支える。


Bahay Kanlungan (高齢者向けシェルター)にて。訪問時は19人の住人が共同生活をされていた。



WHO西太平洋地域事務局にてGoljevscek Serena氏、堤敦朗教授、Vergara Jasmine氏、穴見翠氏(オンライン)らによる講義の様子




JICAフィリピン事務所にて大須賀亜希子氏、Orsolino Ycon氏による講演の様子



夜行便でマニラに到着後、そのまま市内観光へ。リサール・パーク(Rizal Park)にてツアーガイドの話に耳を傾ける一行。フィリピンの歴史・文化への理解を深めた。

